PDFプリフライトチェッカー(Preflight)
PDF入稿データは、仕上がりサイズと塗り足し(TrimBox/BleedBox)、フォントの埋め込み、画像の有効解像度、暗号化状態をすべてブラウザ内で検証可能で、ファイルが端末外に送信されることはありません。結果はエラー/警告/情報の3段階で分類され、レポートのダウンロードも可能です。
更新日 2026-08-12 · 方法のバージョン v0.9.0
How to Use
- 「PDFファイルを選択」をクリックして入稿データをアップロード(先頭20ページまで解析、1ファイル50 MB以内)
- ファイルはブラウザ内でのみ解析されサーバーには送信されず、「解析中」の処理が完了するまで待機
- 結果は「エラー」「警告」「情報」に分類して一覧表示、「検査レポートをダウンロード」をクリックしてHTML形式で保存
- 「エラー」項目は修正してから入稿、チェック通過は完全な印刷適性を保証するものではないため目視での再確認が必要
計算方法と前提条件
解析はすべてお使いのブラウザ内で完結します。pdf-lib がページボックス(MediaBox/TrimBox/BleedBox)と暗号化状態を読み取り、Mozilla のオープンソースエンジンである pdf.js がフォントの埋め込みと画像を検証します。ファイルが外部サーバーにアップロードされることは一切ありません。機密性の高い入稿データや未発表の製品デザインでも安心してチェックできます。
塗り足しの判定は、TrimBox に対する BleedBox または MediaBox の最小マージンを基準に行います。断裁には公差(ズレ)が生じるため、一般的な商業印刷では各辺 3 mm 以上の塗り足しが推奨されます。塗り足しのない断ち落としデザインは、断裁後にフチに白残り(白フチ)が出てしまいます。TrimBox が存在しないファイルは塗り足しを判定できないため警告が表示されます。DTP・レイアウトソフトに戻り、印刷用プリセットで再度書き出してください。
フォントチェックでは、埋め込まれていないフォントを検出します。PDF にフォントが埋め込まれていないと、出力側のパソコンに対象フォントがない場合に自動で代替フォントへ置き換わり、字送りのズレや文字化け、文字抜けを引き起こします。多くの場合、これは印刷現場の RIP 処理の段階になって初めて発覚します。レイアウトソフトの印刷用プリセットでは標準ですべてのフォントが埋め込まれるため、未埋め込みフォントが存在する場合は書き出しフローに問題があると考えられます。
画像の実効解像度は、画像ファイルに記載された情報ではなく、PDF 描画コマンドの座標変換マトリクス(CTM)を追跡し、画像のピクセル数をページ上の実際の配置サイズで割って算出します。同一の画像でも大きく配置するほど実効 DPI は低下します。150 DPI 未満はエラー、150–225 は警告として判定され、これは一般的な印刷会社のデータ受入基準と一致しています。
検査結果は3段階に分類されます。「エラー」は印刷会社からデータ不備で再入稿を求められる可能性が高い重大な問題、「警告」は案件の条件によって影響が出る恐れがあり個別確認が推奨される項目、「情報」は目視判断のための客観的なデータ状態を示します。この分類の目的は、単純な「合格/不合格」といううわべの安心感を与えることではなく、どの問題を優先して対処すべきかを明確にすることです。
仕様について:本ツールは現在 Beta(PoC)段階であり、先頭 20 ページ、各ページ先頭 50 点までの画像を解析し、50 MB を超えるファイルには対応していません。オーバープリントや透明の分割・統合、画像の元カラースペース(CMYK/RGB/特色)、PDF/X 準拠、線幅、総インキ量は検査対象外です。入稿前の一次セルフチェックとして活用いただくものであり、Adobe Acrobat Preflight や印刷会社による人手の製版・プリプレス確認の代わりになるものではありません。
利用シーン
- 入稿前のセルフチェック:デザイナーが書き出し後の 30 秒で塗り足しとフォント埋め込みを確認し、翌日印刷会社からデータ不備で差し戻される手間を回避
- 受領データの一次チェック:マーケティング部が外注先から納品されたデザインデータを印刷会社へ渡す前に一度チェックし、手戻りのやり取りを半減
- 名刺データの入稿検証:9×5.4 cm の名刺データで TrimBox に対し塗り足し込み 9.6×6 cm(各辺 3 mm)はクリアしたものの、裏面の画像1点が 132 DPI でエラー判定されたため高解像度版に差し替えてから入稿
- Word 変換データのトラブル防止:クライアントがオフィスソフトで書き出した PDF に TrimBox がなく警告が出たため、レイアウトソフトからの再書き出しを依頼して印刷直前の手戻りを回避
- 過去データの再版:3年前のカタログ PDF を探し出し、フォント埋め込みや画像解像度をチェックしてからそのまま増刷可能かを判断
- 海外工場への校正刷り入稿:海外の委託先工場へデータを送る前にローカルでプリフライトチェックを行い、塗り足しやフォント埋め込みの結果を添付することで、仕様の再確認なしにスムーズに製造ラインへ手配
よくある質問
- ファイルは本当にアップロードされないのですか?
- 一切アップロードされません。解析エンジン(pdf-lib および pdf.js)はお使いのブラウザ内部で JavaScript として動作しており、デベロッパー ツールのネットワーク パネルでもアップロード リクエストは一切発生しません。そのため、チェック速度はお使いの端末の処理性能に依存し、通信速度には影響されません。
- チェックを通過すればそのまま印刷できますか?
- そうとは限りません。本ツールは再入稿(データ不備)の最も代表的な原因(塗り足し、フォント、解像度)を網羅していますが、オーバープリントやカラースペース、総インキ量などの高度な項目は対象外です。本生産前には、印刷会社による人手のプリプレス確認を行ってください。
- なぜファイルに「TrimBox がありません」と表示されるのですか?
- 一般的なオフィスソフトから書き出したPDFにはページサイズしか含まれず、仕上がりサイズ枠がありません。印刷用データを作成する場合は、DTPソフト(InDesign、Illustrator)を使用し、印刷用PDFプリセットを選択した上で、塗り足しとトンボ(トリムマーク)を有効にして書き出してください。
- フォントはなぜ必ず埋め込む必要があるのですか?
- 出力側の環境に使用フォントがインストールされているとは限らないためです。フォントが埋め込まれていないと代替フォントへの置き換えが発生し、文字送りのズレや文字化け、グリフの欠落が生じる恐れがあり、印刷所のRIP処理時になって初めて発覚することも少なくありません。DTPソフトの印刷用プリセットでは標準ですべてのフォントが埋め込まれるため、未埋め込みが検出された場合は書き出し設定やデータ変換工程に問題がある可能性が高いです。
- 画像の実効DPIとファイル情報に記録されたDPIにはどのような違いがありますか?
- 画像ファイル内のDPI表記は単なるメタデータに過ぎません。実効DPIとは、画像のピクセル数をレイアウト上で実際に配置されたサイズで割った値です。同じ画像でも紙面上で大きく拡大配置するほど実効DPIは低下し、これこそが印刷時の仕上がりの鮮明さを左右する真の指標となります。
- ファイルサイズやページ数の制限はありますか?
- はい、あります。現在のベータ版では先頭20ページ、各ページ先頭50点までの画像を解析対象としており、50 MBを超えるファイルには対応していません。ページ数の多いカタログや冊子の場合は、分割して書き出してチェックするか、Acrobat ProのPreflight機能を使用して完全な検証を実行することをおすすめします。
制限事項と免責事項
- Beta/PoC バージョン:先頭 20 ページ、各ページ先頭 50 点までの画像を解析。50 MB を超えるファイルには非対応
- オーバープリントと透明効果、画像の元カラースペース、PDF/X 準拠、線幅、総インキ量は検査対象外
- チェック通過はそのまま印刷可能であることを保証するものではありません。本生産の前には人手によるプリプレス確認を行ってください
- 検査のみを行い、元のファイルを変更することはありません
専門家のチェックが必要
ツールで算出される値はあくまでデジタル上の参考値です。量産に入る前の校正手配、仕様の確定、データに潜むリスクの確認など、印刷コンサルタントに事前に相談するほうが、印刷事故による刷り直しのコストを大幅に抑えられます
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