印刷単位換算ツール
印刷の単位換算でつまずきやすいポイントは3つあります。第1に、ptには2種類存在します。印刷用のPostScript point(1 pt = 1/72インチ)と、CSSのpx(1/96インチ)であり、混同すると33%の誤差が生じます。第2に、米国の連量「ポンド」は単なる重さではなく「該当紙種のbasic size 500枚あたりの総重量」を指し、basic sizeは紙種ごとに異なるため、80ポンドのCoverは80ポンドのTextのほぼ2倍の厚みになります。紙種を選択しない換算は必ず誤りにつながります。第3に、取り数(開数)は全判の長辺を繰り返し2分割した等分であり、計算は容易ですが基準全判寸法そのものに違いがあります。同じ四六判でも未裁断(毛サイズ)788×1092と台湾の印刷現場で一般的な裁断後760×1040では28mmの差が生じます。本ツールではこの3要素をすべて計算し、基準も自由に選択できます。
更新日 2026-08-15 · 方法のバージョン v1.0.0
How to Use
- 「長さと文字サイズ」で数値を入力し、「変換元」と「変換先」の単位を選択、DPIはピクセル換算に連動
- 「連量(lb)↔ gsm」でまず「紙種」を選択し、「連量(lb)」または「坪量(gsm)」のいずれかに入力
- 「切数」で「基準全判」を選択し、下の表で各切数のサイズ(mm)を確認
- 切数や連量の換算値は理論値のため、正式発注前に印刷会社の実際の用紙手配・断裁寸法を要確認
計算方法と前提条件
長さはPostScript pointを基準としています:1 pt = 1/72インチ、1 pica = 12 pt。CSSの1 px = 1/96インチはあえて除外しています。この2つの混用が最も頻発する誤差の原因だからです。ピクセルは独立した項目とし、DPIの指定を必須としています。DPIが指定されなければピクセルには物理的な寸法が存在しないためです。
米坪(gsm)換算式:gsm = ポンド数 × 453.59237 ÷(500 × 基準幅 × 基準高さ × 0.00064516)。basic sizeは北米製紙業界の標準値を採用:Bond 17×22、Text/Book 25×38、Cover 20×26、Bristol 22.5×28.5、Index 25.5×30.5、TagおよびNewsprint 24×36インチ。
計算式は業界の対照表で回帰テスト済み:20ポンド Bond = 75 gsm、70ポンド Text = 104 gsm、80ポンド Cover = 216 gsmの3点すべてに合致。
取り数(開数)は基準全判の長辺を繰り返し2分割して算出し、単なる対照表の引用ではありません。端数処理は切り捨て(業界の表記慣例)としています。算出結果は公表されている四六判および菊判の取り数表とマスごとに照合・検証済みです。
基準全判寸法は6種類から選択可能で、未裁断(毛サイズ)か裁断後かを個別に明記しています。この寸法の差異は実際に存在しており、曖昧に隠蔽するよりも明示する方が安全だからです。
すべての演算はブラウザ内で完結し、入力内容がサーバーに送信されることはありません。
利用シーン
- 文字サイズ 10 ptをmmに換算:3.53 mm。同じ数値をCSSピクセルとして計算すると2.65 mmになり、33%の差が生じます。
- 70ポンド Textをgsmに換算:104 gsm。一般的なカタログ本文用の上質紙の厚みです。
- 80ポンド Coverをgsmに換算:216 gsm。同じ80ポンドでもTextのほぼ2倍の厚みがあり、見積もりで最も誤解が生じやすい点です。
- 四六判 788×1092の8切(8取):273×394 mm。台湾の印刷会社で一般的な裁断後 760×1040の場合、8切(8取)は260×380 mmになります。
- 菊判 635×889の8切(8取):222×317 mm。A4に近く、菊判がA4仕上がりの面付けによく使用される理由です。
- 3 mmの塗り足しは300 DPIで35ピクセルとなり、ドキュメントサイズの設定にそのまま使用できます。
よくある質問
- 計算した pt から mm への換算結果がソフトと異なるのはなぜですか?
- 多くの場合、2種類のポイント定義が混在していることが原因です。印刷における PostScript point は 1/72 インチ、Webの CSS px は 1/96 インチです。本ツールは一貫して印刷規格を採用しており、ピクセルは独立した項目として DPI の指定を必須としています。
- 米国の連量(lb)換算で、なぜ必ず先に紙種を選択する必要があるのですか?
- 米国の連量(Basis Weight)は「該当紙種の basic size(基本寸法)500 枚の総ポンド重量」と定義されており、basic size は紙種ごとに異なるためです。Text は 25×38 インチ、Cover は 20×26 インチであるため、同じ 80 ポンドでも Text では 118 gsm、Cover では 216 gsm となります。単一の換算式を適用すると誤った結果になってしまいます。
- 四六判の規格は 787 なのか 788 なのか?
- どちらも実際に使用されています。788×1092 は伝統的な四六判の原紙寸法(生寸法)であり、787×1092 は 31×43 インチをミリ換算した寸法です。1mm の差は取り都合(断裁サイズ)レベルではほとんど影響しませんが、台湾の印刷現場では原紙を 760×1040 や 758×1060 に断裁して使用することも多く、その差は 28mm にも及びます。本ツールでは、実際の仕入れ用紙に合わせて選べるよう6つの基準寸法をすべて網羅しています。
- 取り都合表の寸法をそのまま仕上がりサイズとして使えますか?
- 使えません。表に記載されているのは全判用紙の理論上の等分割サイズであり、実際には塗り足し、くわえ幅、断裁公差を差し引く必要があるため、仕上がりサイズは表の寸法よりも必ず小さくなります。正確な数値を割り出すには、印刷会社の面付け設計をご確認ください。
- これらの数値には根拠や出典がありますか?
- あります。連量換算式は北米製紙業界の標準換算表をもとに3点でリグレッションテストを実施し整合性を検証済みです。取り都合の寸法は二つ折りによる導出後、一般に公表されている四六判および菊判の寸法表とセル単位で突き合わせて検証しています。テストスクリプトは repo 内に収録されており再実行が可能です。
- ファイルがサーバーにアップロードされることはありますか?
- ありません。すべての計算はお使いのブラウザ内で完結し、サーバーへデータが送信されることは一切ありません。
制限事項と免責事項
- 取り数寸法は理論上の等分サイズであり、塗り足し・くわえ幅(咬口)・断裁誤差を考慮していないため、仕上がり寸法としては使用できません。
- 基準全判寸法は製紙メーカーや印刷会社によって異なります。本ツールでは代表的な6種を掲載していますが、実際の印刷工場で使用される用紙寸法を優先してください。
- basic sizeは北米の標準値を採用しています。欧州や日本の規格とは異なるため、換算前に見積書がどの体系に基づいているかご確認ください。
- 紙厚(μmや条など)および連量(kg)は対象外です。これらは紙の嵩高(バルク)によって異なり、gsm(米坪)単体から算出することはできません。
- 業界の表記慣行に合わせてミリ単位で端数を切り捨てているため、四捨五入を採用している換算表とは 1mm の差異が生じる場合があります。
専門家のチェックが必要
ツールで算出される値はあくまでデジタル上の参考値です。量産に入る前の校正手配、仕様の確定、データに潜むリスクの確認など、印刷コンサルタントに事前に相談するほうが、印刷事故による刷り直しのコストを大幅に抑えられます