概要
中綴じ冊子の本文ページで絵柄が断裁されてしまう主な原因は、紙を二つ折りにして重ねたときに生じる押し出しです。仕上げ断裁で小口をそろえる際、いちばん内側のページほど外側の絵柄が大きく失われます。MINDS印刷(MS、中高級の完全カスタム商業印刷)では、冊子を入稿する前に「MINDS印刷(MS)入稿三段チェック」として、①ページ数と紙厚、②塗り足しと安全ライン、③印刷会社側でCreepの綴じ補正を行うかを確認します

なぜ中綴じの本文ページは切れやすいのか?
中綴じでは、1枚の紙を二つ折りにすると4ページになります。つまり32ページの冊子は実際には8枚の紙を重ねたもので、64ページなら16枚を重ねたものです。紙の枚数が増え、紙が厚くなるほど、内側の紙は外へ突き出します
よくある誤解は、デザイナーが画面上で各ページがそろって見えるため、断裁後も同じようにそろうと思ってしまうことです。中綴じはそう動きません。本文ページは外側の紙に包まれ、折り位置は同じでも、紙の厚みによって紙端が外側へ押し出されます
押し出し効果(Creep):中綴じで複数の紙を二つ折りにして重ねると、内側の紙が外へ突き出します。仕上げ断裁で小口をそろえると、本文ページの外側が余分に切られ、安全マージンもそのぶん小さくなります
現場でいちばんよく聞く言葉は「画面では問題なかったのに」です。この言葉はたいてい、仕上がりデータをレイアウトだけで見ていて、紙を折った後の厚みを見ていないことを示しています
押し出し効果と塗り足しは何が違うのか?
塗り足し(Bleed):仕上がり断裁線の外側に背景を延ばしておく部分です。台湾の印刷会社では四辺に3 mm外へ出す指定がよく使われ、断裁刃にわずかなズレがあっても白が出ないようにします
安全マージンは別の話です。文字、Logo、QR Code、人物の顔、価格情報は断裁線の近くに置けません。商業冊子を作るとき、通常ページではまず5 mm以上の安全マージンを取ります。厚紙の中綴じなら、本文の内側ページほどさらに広げます
塗り足しが救うのは背景の白フチです。安全マージンが救うのは内容の断裁です。本文ページの外側に3 mmしか余白がなく、仕上げ断裁で2 mm前後のCreepが出ると、画面上では安全に見えた絵柄の端がそのまま消えることがあります
焦らなくていいです
中綴じで全面ベタのデザインができないわけではありません。全面背景には塗り足しを付け、重要な内容は外側の断裁辺から離す。この2つを別々に確認する必要があります

InDesignやIllustratorで綴じ補正はどう行うべきか?
綴じ補正は、感覚で全ページを内側へ縮める作業ではありません。正しい順序は、まず印刷会社にこの冊子の総Creep量を確認し、そのうえでデザイン側が手動補正する必要があるかを決めることです。印刷会社側の面付けソフトでCreep compensationをすでに行うのに、デザイン側でもう一度手動で移動すると、補正しすぎたレイアウトになります
「MINDS印刷(MS)入稿三段チェック」では、多ページの中綴じを次のように確認します:
・ページ数チェック:中綴じのページ数は4の倍数である必要があります。24ページ、32ページ、48ページ、64ページのいずれも、先に製本可否と紙厚を確認します
・塗り足しチェック:InDesignのドキュメント設定で四辺に塗り足しを設定します。よくある仕様は3 mmですが、最終的には印刷会社の入稿規定に従います
・安全ラインチェック:外側の断裁辺は、単ページ上の固定距離だけで判断しません。内側のページには、より保守的な安全範囲を使います
・補正チェック:総Creep量、補正を誰が処理するか、PDFは単ページ書き出しでよいか、それとも別途面付け指定が必要かを印刷会社に確認します
InDesignは、数十ページの冊子処理にIllustratorより向いています。Facing Pages、Parent Page、ページ番号、塗り足し、PDF/X出力を使って冊子全体を管理できるからです。Illustratorで32ページ以上の冊子を無理に作る場合は、少なくとも独立したArtboard、固定の塗り足し、固定の安全ラインを使い、ページ番号とページ順を明確にしてください
64ページの中綴じが16枚の紙で構成され、印刷会社から最内側ページの外側ページに対する総Creep量がCだと回答されたとします。この場合、デザイン側では16枚の紙を外側、中間、内側の3から4グループに分けて安全ラインを調整できます。Cの値は紙質、ページ数、機械によって決まります。見た目のよいミリ数を自分で推測してはいけません
中高級の完全カスタム冊子を作る場合は、入稿前にMINDS印刷へ紙質、ページ数、見開き画像の位置を先に確認してもらうことをすすめます。標準サイズで、ページ数が少なめから中程度、レイアウトリスクも高くない冊子なら、MINDS印刷のようなオンライン注文フローのほうが、基本的な塗り足しとデータ仕様を素早く確認しやすいです
無線綴じと中綴じの見開き画像はどう分けて処理するか?
中綴じの問題はたいてい外側の断裁辺にあります。無線綴じの問題はたいてい背側の内側にあります。同じ見開き画像でも、製本方式が変われば危険な位置も変わります
・中綴じ:ページ数は4の倍数が必要です。開きやすく、中央見開きのつながりは比較的きれいですが、本文ページの外側はCreepの影響を受けます
・無線綴じ:ページ数の自由度は高めです。ただし背に糊層と背幅があるため、見開きの文字、顔、細線がノドにかかると、読むときに背へ食い込んで見えにくくなります
・中綴じの見開き画像:全面背景は中央線をまたいでもかまいません。ただし人物の目鼻口、Logo、小さな文字は、折り線や外側の断裁辺にぴったり重ねないでください
・無線綴じの見開き画像:左右ページはそれぞれ単独でも成立するようにします。重要情報はノドから離し、私は通常、印刷会社が絵合わせを調整できるように数mmの余地をデザイナーに残してもらいます
見開きデータは、印刷会社が明確に求めていない限り、Spread全体だけを唯一の完成データとして渡さないでください。多くの冊子入稿では、塗り足し付きの単ページPDFを基準にし、印刷会社側が製本方式に合わせて面付け、ページ順、補正を行います
これで十分です
「中綴じは外側を見る、無線綴じはノドを見る」と切り分けられれば、冊子入稿のミスはもう半分減ります

要点整理
・中綴じ32ページは8枚の紙を重ねたもの、64ページは16枚の紙を重ねたものです。紙の厚みが本文ページを外側へ押し出します
・塗り足しは背景の白フチを防ぎ、安全マージンは文字や絵柄が断裁されるのを防ぎます。両者は代用できません
・Creep補正では、まず印刷会社に総Creep量を確認します。印刷会社側かデザイン側のどちらか一方で処理し、両方で補正するのが最も危険です
・InDesignは多ページ冊子に向いています。Illustratorで冊子を作るなら、Artboard、ページ順、塗り足し、安全ラインを特に厳密に管理する必要があります
・中綴じの見開き画像は外側の断裁が危険です。無線綴じの見開き画像はノドで絵柄が食われるのが危険です。製本方式が変われば、入稿データの作り方も変える必要があります
さらに考えること
印刷製造側にとって、Creep補正は見積もり段階から明確にしておくべき項目です。ページ数、紙厚、仕上がりサイズ、製本方式はすべて断裁リスクに影響します。デザインやSaaSチームにとっては、冊子入稿ツールの中に「4の倍数ページ数チェック、3 mm塗り足しリマインド、本文内側ページの安全ライン分け、印刷会社側の補正確認」をチェック可能なフローとして組み込むべきです。印刷会社から差し戻されてから直すものではありません
FAQ / よくある質問
- なぜ中綴じ冊子の本文ページは外側が切れやすいのですか?
- 中綴じでは複数の紙を二つ折りにして重ねるため、内側の紙が厚みによって外へ突き出します。仕上げ断裁で小口をそろえると、本文ページの外側ほど多く絵柄を失います。これがCreepによる押し出し効果です
- 3 mmの塗り足しを付けたのに、なぜ画像が切れることがあるのですか?
- 3 mmの塗り足しは主に背景の白フチを防ぐためのものです。文字、Logo、顔、QR Codeを守るものではありません。中綴じの本文ページでCreepが出る場合、重要な内容は外側の断裁辺からさらに離す必要があります
- InDesignでCreep補正を自分で手動設定すべきですか?
- 先に数値を推測してはいけません。まず印刷会社が面付けソフトでCreep compensationを行うか確認してください。印刷会社側ですでに補正する場合、デザインデータ側でも手動で移動すると二重補正になります
- Illustratorで中綴じ冊子を作れますか?
- Illustratorでもページ数の少ない冊子なら作れます。ただし32ページ以上なら私はInDesignに切り替えます。それでもIllustratorを使う場合は、独立したArtboard、固定のページ順、3 mmの塗り足し、グループ分けした安全ラインで管理してください
- 無線綴じと中綴じでは、見開き画像の処理は何が違いますか?
- 中綴じの見開き画像では外側の断裁と本文ページのCreepを防ぐことが中心です。無線綴じの見開き画像ではノドで絵柄が食われるのを防ぐことが中心です。重要な文字、Logo、人物の顔は、折り線や背の位置に重ねないでください
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