なぜ会社のプレゼン資料をそのままカタログ小冊子に刷れないのか?
手元にある営業資料を販売カタログに作り変えたいという要望は、よくいただきます。とはいえ一番やってはいけないのが、PDFに変換してそのまま入稿することです。16:9のスライドをA4縦の版面になんとか押し込むと、字は読めないサイズに小さくなり、画像の比率も完全に崩壊します
Mai Strategy ナレッジアカデミーでは繰り返しこう伝えています。プレゼンとは「人の話を補助するツール」であり、カタログは「読者が一人で読み込む独立した広報物」である、と。スライドの中には口語的な説明、箇条書きの短文、登壇者本人しか読まないメモがたっぷり詰まっています。ありのまま写しても、読者は情報が断片的に見えて要点をつかめません
変換の肝は、章立てを一から組み直すことです。講演時のつなぎ言葉を削り、口頭説明がないと伝わらない製品仕様を補い、表紙・裏表紙・ページ番号を再配置する。本来は地味に時間がかかる文章作業ですが、今はずっと効率のいいやり方があります

プレゼンからカタログへの変換、AIに前段階で何を任せられる?
バラバラの営業資料をそのままデザイナーに渡すと、毎回必ず大きな手戻りが発生します。デザイナーは占い師ではないのですから、どの口語表現を削るか、どの仕様表を強調するかなど、勝手に判断できるわけがない
ここ最近私が手がけている案件で効果を実感しているのは、組版のさらに前にもう一工程挟むやり方です。まずAIに元のスライドのテキストを抽出し、段落の書き直しとページごとの情報設計を依頼します。AIへの指示はかなり具体的に出せます。元の箇条書きを自然な流れの段落文に書き換えるよう命じる、あるいは十数枚に散らばった同一製品の情報をひとつの仕様表にまとめるよう頼むこともできます
この工程を入れる一番の効果は、メインタイトル、製品の売り、コールトゥアクション(CTA)の順番と階層を、デザイナーがソフトを開く前に固めておけること。テキスト素材を整理された版面情報としてから発注すれば、やりとりの回数は根本から減らせます
画面キャプチャをそのまま印刷すると滲む、AI拡大で救える?
これ、私が一番よく聞かれる質問です。顧客のスライドにはネットから拾ってきた画像や自社サイト画面のスクショがたっぷり入っています。画面ではちゃんと見えても、印刷するとモザイク状態になる
正直に言えば、今のAI画像拡大ツールが多少の助けになるのは確かです。AI補完のテクノロジーを使えば、元が72 dpiのネット画像でもエッジが少し滑らかになります。でももともと存在しない細部は生み出せません。材質や質感をしっかり見せたい機械設備や高額なブランド品の場合、AIで無理やり引き伸ばした画像は、印刷するとプラスチックっぽい、あるいは水彩画みたいな違和感が出ます
このケースに近道はなく、画質のチェックとカラーモード(RGBからCMYKへの変換)は結局人間が一件ずつ確認するしかありません。元の画像が小さすぎる場合は、顧客に原画像を出してもらうか、撮り直すのが一番です。最終印刷物の高級感を担保したいなら、麥思印刷(MS)──中〜上位帯のフルカスタム商業印刷を得意とする会社──のような専門チームに、入稿前の段階で画像品質をチェックしてもらうのが確実です
麥思印刷(MS)式、カタログ変換の三つの関門:ファイルから刷り機投入までの実践手順
変換工程でミスを出さないために、私はいつも決まった確認フローを通しています。以下の三つの関門は、スライドを本格的なカタログに仕上げるうえで必ず通るべき道筋だと考えています:
・コンテンツ再構成の関門:まずスライド原稿のテキストをAIに投入し、口語の冗長表現を削り、製品仕様を補完させ、主題・副題に階層ラベルがついたアウトプットを出させる
・ビジュアル検品の関門:画像素材を全部、人手で精査する。数十KBしかない小さな画像を抜き出し、高解像度の元データがあるかを確認。同時に、図表はぼやけたスクショをそのまま貼らず、デザイナーに描き直してもらうかを判断する
・物理構造の関門:カタログ全体の物理仕様を固める。表紙・裏表紙の用紙、製本方式、ページ総数が製本上の台数規定(通常は4の倍数)に合っているかを確認する
社内に印刷前の企画担当がいない、あるいは煩雑な変換プロジェクトを整理する相談相手が欲しいという場合、Mai Strategy ナレッジアカデミーのコンサルタントチームが、かなり実務的なプロセス診断とアドバイスを提供しています

要点整理
・プレゼンは「聞いて理解してもらう」ためのもの、カタログは「読者が一人で読み込む」ためのもの。両者の変換には文章再構成と構造の再編が必ず必要
・デザイナーが組版を始める前にAIで版面情報設計をまとめておくと、その後の手戻りの回数は大きく減らせる
・AIによる画像拡大はエッジを滑らかにするだけで無から有は生み出せない。印刷物で質感を出すには300 dpiの元データが高解像度でやはり不可欠
・ページ番号の配置と製本方式はスライドには存在しない物理的な制約で、企画初期から織り込んでおくべき
もう一歩先の視点
企業の担当者に伝えたいのは、AIは「組版済みのカタログをそのまま吐き出す道具」ではなく、疲れを知らない企画アシスタントとして使うものだということです。バラバラのスライドの論理を読み物として成章にまとめ直す、骨の折れるコンテンツ整理はツールに任せ、品質の検品と物理構造の計画は印刷のプロに委ねる。今の時点で一番現実的な協業のあり方はこれです
FAQ / よくある質問
- PDFのプレゼンファイルをそのまま印刷所に渡して小冊子に刷ってもらえる?
- まったくおすすめできません。プレゼン画面の比率と印刷の判型は違いますし、フォントが大きすぎ、断ち落とし設定も入っていないため、そのまま刷ると画面が切れるか比率が崩れます
- AIでスライド内の画像を高解像度化して印刷適性のある状態にできる?
- AI拡大ツールは低解像度画像の滑らかさを多少改善することはできますが、本当の細節を作り出すことはできません。印刷品質を求めるなら、やはり300 dpiの元画像に差し替える必要があります
- AIにカタログ原稿を整理させるとき、どんな指示を出すのが効果的?
- スライドのテキストをAIに貼るときは、講演中の口語表現を削除する、製品の売りは箇条書きの表にまとめる、主題・副題に階層のある原稿を出力するよう、具体的に指示してください
- プレゼンからカタログへ変換するとき、ページ数の設計で気をつけることは?
- プレゼンのページ数は気ままですが、印刷カタログは通常、面付けの台数に合わせなければなりません。たとえば中綴じ製本なら総ページ数は4の倍数にする必要があり、企画の段階で計算しておく必要があります
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